プレゼンの時間管理は、タイマーだけでは足りない – Arkanos Insights
複数人で行う提案プレゼンでは、残り時間を見るだけでは進行を管理できません。約60枚の資料を限られた時間で説明した実体験から、スライド番号、担当者、要点、切り替え時刻をまとめたキューシートと、Arkanos Cue Timerを作るまでの経緯を紹介します。
プレゼンの時間管理というと、まず思い浮かぶのはタイマーです。
しかし、複数人で分担して行う提案では、残り時間が分かるだけでは十分ではありません。今どのスライドを説明しているのか、次は誰に引き継ぐのか、どこを重点的に話すのか。実際の進行で確認したい情報は、時計の数字だけではありません。
Arkanos Cue Timerは、そんな実際の提案準備から生まれたツールです。
約60枚の提案資料を、限られた時間で説明する
きっかけは、ある提案プレゼンの準備でした。
資料は約60枚。資料説明に使える時間は約45分で、途中には開発担当によるデモや、営業担当による見積説明も入ります。全体説明を担当する人が一人で最初から最後まで話すのではなく、内容に応じて担当者を切り替える進行でした。
単純に45分を60枚で割ればよいわけではありません。
- 丁寧に説明すべきページ
- 要点だけを伝えるページ
- 読み上げずに飛ばすページ
- デモへ引き継ぐページ
- 営業担当へ引き継ぐページ
ページごとに扱いが異なります。前半で時間を使いすぎれば、重要な後半部分を駆け足で説明することになります。一方で、時計ばかりを気にすると、肝心の説明に集中できません。
そこで最初に、時刻、スライド番号、扱い、担当者、話す要点を並べた「進行用キューシート」を作りました。
手元の時計だけでは、現在地が分からない
キューシートを作ってみると、時間配分そのものは整理できました。しかし、本番で紙や表を見ながら、別の時計で経過時間を確認するのは少し面倒です。
プレゼン中に知りたいのは、単なる残り時間ではなく、次のような情報でした。
- 現在は何ページを説明しているか
- この区間はいつまでか
- このページで必ず話す要点は何か
- 次はどのページで、誰が担当するか
- 次の切り替えまで何分あるか
一般的なタイマーは時間を示してくれますが、プレゼンの「現在地」までは教えてくれません。
そこで、作成したキューシートを画面上で見ながら進行できる、単体のHTMLファイルを作ることにしました。
まずは、自分が翌日のプレゼンで使うために作った
最初から製品や公開ツールを作ろうと考えていたわけではありません。必要だったのは、翌日のプレゼンで使えるものです。
現在のスライド番号と担当者、説明の要点を大きく表示し、次の区間までの時間をカウントダウンする。担当者の切り替えも、次の予定として先に表示する。まずは、それだけのシンプルなHTMLを作りました。

実際のプレゼンでも使用してみたところ、進行上の大きな違和感はありませんでした。時計と進行表を別々に確認する必要がなくなり、「今どこにいて、次に何があるか」を一つの画面で把握できました。
そして使い終わったあとに、ふと思いました。
これは、今後も似たような場面で使えるのではないか。
プレゼン以外にも、同じ構造の場面がある
複数人で行う提案やコンペでは、担当者ごとの持ち時間や引き継ぎ位置を決めることがあります。社内イベントでは、参加者が順番に時間を区切って発表します。オンラインセミナーでも、講演、デモ、質疑応答などを予定に沿って切り替えます。
用途は違っても、必要な情報はよく似ています。
- いつ切り替えるか
- どの資料を扱うか
- 誰が担当するか
- 何を必ず伝えるか
- どの区間を重点的に扱うか
そこで、一度きりのプレゼン用HTMLを、CSVから任意のキューシートを読み込める汎用ツールへ作り直しました。それが、Arkanos Cue Timerです。

PCだけでなく、iPhoneやiPadでも使えるようにする
プレゼン中、PCの画面にはスライドを表示します。画面が一つしかなければ、同じPCでタイマーを確認するのは簡単ではありません。
そこで、PCでプレゼン資料を表示しながら、手元のiPhoneでCue Timerを確認できるよう、スマートフォン表示にも対応しました。iPadをサブディスプレイとして使用する場合にも、現在の区間とキューシートを確認できます。
ホーム画面へ追加すれば、通常のアプリに近い形で起動できるPWAにも対応しています。

通信できない場所でも使えるようにする
客先やイベント会場では、必ずしも安定した通信環境があるとは限りません。また、提案資料のページ構成や担当者、説明内容を、タイマーを使うためだけに外部サーバーへ送信する必要もありません。
そのため、Cue Timerは端末内で処理が完結する構成にしました。
一度読み込める状態にしておけば、通信環境がない場所でも利用できます。CSVの内容もサーバーへ送信しません。アカウント登録やインストールをせず、必要なときにすぐ使える軽さを優先しています。
また、作成したキューシートは単体HTMLとして書き出せます。書き出したHTMLをブラウザで開くだけで、そのプレゼン専用のタイマーとして使用できます。
多機能な進行管理システムではなく、必要な情報を見るための道具
Cue Timerは、大規模なイベントを管理するためのシステムではありません。
現在のスライド、担当者、要点、次の切り替えまでの時間を確認する。必要なときには前後の区間へ移動する。扱いが「最重点」や「重点」と設定された区間は、見落とさないように強調する。
実際のプレゼン中に必要だった機能を中心に、できるだけシンプルにまとめています。
無料版では、CSVの読み込み、キューシート表示、タイマー、担当者と要点の表示、単体HTMLの書き出しなどを利用できます。
現場で困ったことを、小さなツールで解決する
Arkanos Cue Timerは、「無料ツールを作ろう」という企画から始まったものではありません。
実際の提案を準備する中で感じた不便を、まず自分が使える小さな道具として解決し、本番で試した結果をもとに、ほかの人も使える形へ整えたものです。
複数人でのプレゼン、社内発表、オンラインセミナーなどで、時計を見るだけでは進行を管理しづらいと感じている場合は、ぜひ試してみてください。