AIを使って自社サイト整備を一気に進めた話 – Arkanos Insights
自社サイトのリニューアルにあたり、AIを活用して方向性の整理、構成検討、文章作成、実装確認を短期間で進めました。特別なプロンプトではなく、ディレクターとエンジニアが会話するように進めた実践を振り返ります。
創業2年目を迎えたタイミングで、Arkanos株式会社の自社サイトをリニューアルしました(創業2年目で自社サイトをリニューアルした話)。
今回のリニューアルでは、ロゴの刷新に合わせて、サイト全体のデザイン、構成、文章、OGP、404ページ、サイトマップ、robots.txt、Search Console対応、さらにInsightsの設計まで、一通り整備しています。
規模としては大きなWebサイトではありません。
しかし、小規模な会社にとって、自社サイトの整備は意外と後回しになりがちな仕事です。
日々の案件対応、見積もり、請求、経理、資料作成、顧客対応などを優先していると、自社サイトの改善はどうしても「そのうちやること」になりやすい。
今回、その「そのうち」を前に進めるうえで、AIはかなり有効でした。
実作業としては、集中して進めた期間で見ると、おおよそ3日程度です。
もちろん、ロゴ制作や会社としての方向性の検討はそれ以前から進めていました。
ただ、サイトとして形にしていく作業は、AIを使うことでかなり高速に進めることができました。
AIに丸投げしたわけではない
AIを使って自社サイトを作った、というと、
「AIに指示を出したら、いい感じのサイトができた」
という話に聞こえるかもしれません。
しかし、実際の感覚はかなり違います。
今回やっていたことは、どちらかというと、ディレクターとエンジニアが会話しながら進める感覚に近いものでした。
「このページには何を載せるべきか」
「会社として何を前面に出すべきか」
「この文章は少し抽象的すぎないか」
「この導線だと、問い合わせにつながりにくくないか」
「スマートフォン表示ではどう見えるか」
「OGPや404ページも整えておいた方がよいのではないか」
こうした相談をしながら、構成を決め、文章を整え、HTMLやCSSを調整し、表示を確認していきました。
特別なプロンプトを駆使した、という感覚はほとんどありません。
むしろ、通常の制作現場で行われる会話を、AI相手に何度も高速に繰り返した、という方が実態に近いと思います。
方向性があると、AIは一気に使いやすくなる
AIを使っていて強く感じたのは、方向性があると非常に使いやすいということです。
たとえば、今回のサイトでは、最初からいくつかの判断軸がありました。
- 会社としては、マニュアルDX、構造化コンテンツ、業務改善、IT基盤構築を扱う
- 見た目は、堅すぎず、しかしBtoBとして信頼感のあるものにする
- ロゴの青を活かしつつ、全体は白基調で余白のあるデザインにする
- 代表者個人を過度に前面に出すのではなく、会社としての考え方を伝える
- 問い合わせにつながる最低限の導線は用意する
- 将来的にInsightsとして記事を増やせる構造にする
こうした前提があると、AIへの相談はかなり具体的になります。
「いい感じのサイトを作って」ではなく、
「この会社の支援領域を、BtoB向けに分かりやすく整理したい」
「このトーンだと少し抽象的なので、もう少し現場感のある表現にしたい」
「トップページからPhilosophyへの導線を自然にしたい」
といった会話ができます。
AIは、目的や判断基準があるほど力を発揮します。
逆に言えば、方向性がないままAIに依頼しても、どこかで見たような、それっぽいものが出てきやすい。
AIを使う前に、人間側が何を大事にするのかを持っていることが重要だと感じました。
順序を決めるだけでも、作業はかなり進む
自社サイトの整備では、やることが細かく分かれます。
トップページの構成を考える。
会社概要を整理する。
プライバシーポリシーやCookieポリシーを用意する。
問い合わせフォームを確認する。
OGP画像を設定する。
faviconを入れる。
404ページを作る。
sitemap.xmlやrobots.txtを整える。
Search Consoleに登録する。
スマートフォン表示を確認する。
Insightsのカテゴリや記事導線を考える。
一つひとつは、そこまで大きな作業ではありません。
しかし、全部をまとめて見ると、なかなか重い。
このときにAIが役立ったのは、作業そのものだけでなく、順序の整理でした。
今やるべきこと。
後でもよいこと。
公開前に確認すべきこと。
公開後に整えればよいこと。
これらを切り分けることで、作業が止まりにくくなります。
自社サイトのような仕事は、完璧を目指しすぎると公開までたどり着きません。
一方で、最低限やるべきことを落とすと、会社の顔として不安が残ります。
そのバランスを取りながら、AIと一緒に優先順位を整理していくことで、かなり進めやすくなりました。
AIは相談・試作・修正サイクルを高速化するエンジン
今回、AIを使って特に効果が大きかったのは、相談、試作、修正のサイクルです。
たとえば、文章ひとつを作る場合でも、最初から完成形を求めるのではなく、まず案を出してもらう。
それを見て、違和感のある表現を指摘する。
もう少し会社の実態に合わせる。
硬すぎる部分をやわらげる。
逆に、軽すぎる部分は締める。
見出しの順序を変える。
導入文だけ差し替える。
このようなやり取りを短時間で繰り返せるのが、AIの大きな価値です。
コードについても同じです。
HTMLやCSSの修正案を出してもらい、実際に表示を確認し、違和感があれば再度調整する。
スマートフォン表示で崩れていないかを確認する。
OGPやcanonical、構造化データなど、細かい要素を一つずつ見直す。
AIがすべてを正しく判断してくれるわけではありません。
しかし、試作の速度は大きく上がります。
人間側が確認し、判断し、必要に応じて修正する前提で使うなら、AIは非常に強力です。
小さな会社ほど、AIの恩恵は大きい
大きな会社であれば、Web担当、広報担当、デザイナー、エンジニア、ライターなど、それぞれの役割を持つ人がいます。
一方で、小さな会社では、これらの作業を一人または少人数で進めることが多くなります。
自社サイトを整えたい。
ブログやお知らせも出したい。
会社紹介資料も更新したい。
問い合わせ導線も改善したい。
でも、目の前の仕事もある。
このような状況では、着手するまでの心理的な重さが大きくなります。
AIは、その重さを軽くしてくれます。
「まず構成だけ考える」
「文章のたたき台だけ作る」
「CSSの修正案だけ出す」
「公開前チェックリストを作る」
「記事タイトルを整理する」
こうした小さな一歩を、すぐに始められる。
これは、小さな会社にとってかなり大きなメリットだと思います。
ただし、AIだけでは会社らしさは出ない
一方で、AIを使えばそれだけで会社らしいサイトになるかというと、そうではありません。
会社として何を大事にしているのか。
どのような仕事をしてきたのか。
どのような顧客に、どのような価値を提供したいのか。
どの言葉は使いたくて、どの言葉は使いたくないのか。
どの程度まで個人色を出すのか。
どの程度まで事業領域を広げて見せるのか。
こうした判断は、人間側に残ります。
AIは、言葉や構成やコードを出してくれます。
しかし、その会社にとって本当に合っているかを判断するのは、人間です。
今回のサイト整備でも、AIが出した案をそのまま採用したわけではありません。
これは違う。
これは少し大げさ。
これは抽象的すぎる。
これはもう少し現場感がほしい。
この表現はArkanosらしい。
この導線は残した方がよい。
そうした判断を重ねながら、最終的な形に近づけていきました。
AI活用は、プロンプト芸ではなく業務設計に近い
AI活用というと、どうしても「どんなプロンプトを使うか」という話になりがちです。
もちろん、指示の出し方は重要です。
しかし、今回の自社サイト整備で感じたのは、プロンプトそのものよりも、業務の進め方の方が大事だということです。
何を作るのか。
誰に向けて作るのか。
何を優先するのか。
どこまでを公開前にやるのか。
どこから先は公開後に改善するのか。
どの案を採用し、どの案を捨てるのか。
これらが決まっていると、AIとのやり取りは自然に具体的になります。
逆に、そこが曖昧なままだと、AIから出てくるものも曖昧になります。
AIを使う力は、単にプロンプトを書く力ではありません。
目的を整理し、作業を分解し、判断基準を持ちながら進める力でもあります。
その意味では、AI活用は業務設計にかなり近いものだと思います。
後回しになっていたことを、前に進めるために
今回、自社サイトをリニューアルして感じたのは、AIは「自分の代わりに全部やってくれる存在」ではなく、「自分の判断を前に進める存在」だということです。
相談できる。
試作できる。
修正できる。
整理できる。
確認できる。
このサイクルを速く回せるだけで、後回しになっていた作業はかなり進みます。
小さな会社では、やるべきことは多いのに、それぞれに十分な時間をかけることが難しい場面があります。
だからこそ、AIをうまく使うことで、止まっていた仕事を少しずつ形にしていくことができます。
自社サイトの整備も、その一つでした。
AIに任せたからできた、というよりも、
AIと相談しながら進めたから、短期間で形にできた。
今回のリニューアルは、そういう実践だったと思います。